ここはM県S市W区、閑静な住宅街の中にあるM刑務所 。
○1棟 (別名センター棟) 3階のは1室、2室が労役の雑居房、3室から18室までが(おそらく)懲役達の雑居房、19室から25室は独居。
(建物はドーナツ形状)
(Google Mapより)
拘置所から裁判を経て懲役となった受刑者達は 先ずここに送られる。
収監されて数日から数週間は「考査生」とよばれる。
3階の人員は29名から35名ほど(日によって人数は変わる)
懲役の考査生は一定の期間収容された後 工場がある別の棟に移動するか
他の刑務所に移送される。
(それぞれ罪状によって違う)
われわれ労役(8人前後)は罰金の金額分(¥5.000/日)ひたすら雑居房で内職をする。
薄い座布団に正座、安座、折り畳みの小机の前で内職の作業をひたすら行う。
雑居房(共同房=牢屋)に時計は無く時間の経過が分からない。
無限に感じる労役作業の中、食事と入浴だけがとにかく楽しみだった。
刑務所の入浴は
週3回(月、水、金)の翌週は週2回(火、木)
水曜日の入浴は髭剃り無しの10分。
その他は髭剃り有りで15分。
入浴の時間帯は不定。
基本、懲役組が先に入る。
早い時で朝8時半、遅い時で11時半頃。
作業中に「2室10分後に入浴なっ」と刑務官から連絡される。
※10分後 刑務官の指示でタオルと石鹸箱を持って廊下に整列。
タオルは左腕にかけ石鹸箱は右手に持つ。
刑務官の指示で廊下を行進。
出口前で一旦止まり、通し番号を大声で言い人数確認
(くどい程徹底している)
階段を降り2階にある共同浴場に移動。
(階段出入り口の施錠も徹底している)
この際、懲役受刑者の集団とすれ違う時(よくある)は
刑務官の指示で片方(主に労役)が
壁側を向き左手を背中、腰の位置にあて(休めの姿勢で)
片方の集団が通り過ぎるのを待つ決まり。
入浴前の「カンカン踊り」はなかった。
(↑後から検索した)
脱衣所に入る前に ボディチェックと石鹸箱の点検はしっかりとあった。
髭剃りの出来る日は 浴室に入る時 刑務官に自分用のカミソリを
「2室99番ネコタです」と言って木箱から出して貰う。
(髭剃りが終わると 借りる時と同様に部屋と自分の番号、氏名を言ってからカミソリを返す。)
「あぁー。いつもの通りぃ
入浴時の交談(雑談)は禁止ィ!
各自節水に努める事ッ!
シャワーの使用は禁止ッ!
・・・では入浴始めィ!
(大声)」
タヌキ先生の号令で入浴開始。
浴場の入り口で刑務官2名がタイマーで時間を見ながら監視している。
そんな状況で体を洗う。
石鹸で洗うので髪がキシキシする。
素早くタオルに石鹸を擦り付け 体とシモを洗い
入浴。
10人以上一緒に入れる大きなステンレス製の湯槽に素早く浸かる。
刑務所の風呂はお湯は汚れて汚い…と聞いていたけど そんな事は無い。
90日間いて入浴中に不快な思いをしたことは一度も無かった。
「10分前ぇ!」(大声)
「5分前ぇ!」(大声)
タヌキ先生の号令がかかる。
5分前位に全員が上がる。
脱衣場を出るときもボディチェックと石鹸箱の確認。
全員が出終わるまで廊下の壁に向かって休めの姿勢で待機。
(左腕にタオルをかけ、右手は背中、腰の位置)
とにかく 番号!番号!と人員の確認は徹底している。
入浴が終わり、部屋に帰ると 先生の「タオル洗い後 作業開始!」の号令がかかるまで自分の位置で正座。
バタバタと忙しい時間だけど、常に同じ姿勢で行う労役作業の気分転換になるので
僅かな時間でも入浴はとにかく楽しみだった。
続く↓