先生、一週間前に在所証明書の発行願箋(がんせん)出したんですが、出所の時に貰えるんですか?
貰えるよ。もしも庶務が忘れていたら30分くらい待ってもらう事になるなw
領地の先生(刑務官)が笑顔で答えた。
これで出所前の領地調べ終了。
舎房に戻る前に何故か初日に連れてこられた事務連1階のロッカールームみたいな
広い部屋の小部屋で30分ほど待たせられた。
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在所証明書とは法令の規定により身体の自由を拘束されていたことを証明する必要があるときに、個別の申請に応じて、当該刑務所の長の裁量によって発行されているもの。
(弁護士ドットコムより)
90日間刑務所に入るのでその間の各種支払(国保等)が出来ないので
減免の手続きをする上で在所証明書が必要なことは
事前に相談した区役所の職員さんから聞いていた。
学校の卒業証書みたいに出所の時に刑務所側から自動的に貰えると思っていたのだが
一応 担当先生に質問した所「然るべき理由がないと発行されない」との事だったので
出所日から逆算して1週間前の「願い事」の時に願箋(がんせん)を申請した。
担当先生に書き方を聞いて
庶務課長宛に「国保の減免申請の為に在所証明書の発行を願います。」と願箋に記入して担当先生に提出した。
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舎房に戻ってすぐに昼食。
昼食の間に黒いおじさんが「どうでしたか?」と聞いてきたので
領地の様子を手短に話した。
午後の作業を1時間ほどしていると 若い刑務官が
「ネコタ 入浴!」と呼びに来た。
今週の入浴日は火、木のみ(15分)。今日は月曜日で風呂は無いのだが
出所の前日には必ず風呂に入れる規則?
なので今日は特別入浴できるのだ。
他の労役達が黙々と作業している中 自分ひとりだけ入浴出来るのは優越感だ。
2階の共同浴場に連れられていくとタヌキ先生が既に待っていた。
お!お前、明日出るのか!
と一瞬微笑んだ直後、
2度と来るなよ。2回目から厳しくなるからな!
と真顔で注意された。
そして「右の個室風呂に入れ。15分な」と言われた。
左の個室風呂に痩せた「胸割りドンブリ」の受刑者が体を洗っている姿が見えた。
※追記2021.01.16
「どんぶり=総身彫り(丸首に彫る)」なので
↕この時見た人は「胸割り」になのでしょう。
入れ墨の事は当時ぜんぜん分かっていませんでした。
※彼も明日出所かな?と思ったが、
頭髪が坊主のままだったので多分違うと思う。
模範囚(他の建物の「1番兄貴」的な)なのかも知れない。
一瞬だったけど手首足首までギッチリの和彫りを初めて生でみた。
もっと じっくり柄を観察したかったけど出来なかった。
素早く体を洗い おとな一人が膝を折ってギリギリ入れる浴槽に浸かる。
「10分前」「5分前」と監視の若い刑務官が知らせてくるので5分前で風呂からでた。
「ありがとうございました。お世話になりました。」と狸先生と若い刑務官にお礼をいい 舎房に戻る。
戻って作業再開。直ぐに休憩。作業再開→終了。材料だし→室内清掃。
点検→夕食→カラ下げ。→仮就寝。
今日は時間が過ぎるのがとても早かった。
続く↓