「いーなぁ 明日出所ぉ」
仮就寝の時間にブーちゃんが羨ましそうに寝そべった姿勢で俺に向かって話す。
「牛田さんだって来週じゃないですか。直ぐですよw」
「牛田さんが出て3日後が俺だな」
黒いおじさんこと鮫川も会話に加わる。
「(正門前の)ローソンで待ってますよw」
牛田が返す。
鮫川は出所後、かかりつけのM区Y大病院に向かいそのまま入院するのだそうだ。
M刑務所の所在地であるW区に土地勘が無いため 刑務所から自転車で15分の場所に住む牛田が一緒にY大病院まで付き添うらしい。
「俺はあと2週間先か・・・」
デカパンこと馬川が少し悔しそうに呟く
「馬川さんが出所の時もローソンで待っています」
「一緒に焼き肉食べる予定なんですよ。ずっと前から決めていたんですよw」
「その後 S駅前のV・V(アーケード街にあるパチンコ屋)でタニシさんと合流する予定なんですよw」
「タニシさん絶対に忘れているなw」
「その時は俺ひとりでN町のT(商店街にあるパチンコ屋)に探しに行きますよ」
1室は1室で出所後の予定を計画していたらしい。
肝臓が悪い鮫川を気遣ってM刑務所からバス、地下鉄、JRを乗り継ぎ
1時間以上かかるY大病院に付き添う牛田。
県南の町からM刑務所に収監されて やはりW区に土地勘の無い
馬川の為にローソン前で待つ牛田。
実は良いやつなんだな・・・少しと感心した。
1室の3人はそれぞれ出所後落ち着いたら
●牛田は元いたペンキ屋に復帰する(予定→希望)
●鮫川はY大病院に入院してM区に住民票を移し生保を申請する。
●馬川は一旦 I区に住む弟のアパートに身を寄せアルバイトを探す。
との事だった。
俺は・・・とりあえず正門前のローソンでコーヒーを90日ぶりに飲んで、
朝食にハムサンドを食べて、それから考えよう。
きっと物凄く美味いに違いない。
最終日の夜はいつもと少し違う時間を過ごして興奮していた事もあり
直ぐに眠りについた。
明日はついに出所です!