あと1時間なんで頑張って下さい
サルタが笑顔で話しかけてきた。
…俺は緊張と苦痛で「はい」としか答えられなかった。
休憩はほんの数分で終わる。
刑務官の「ケーシューリョー!。ギョーカイシー!」
(訳。休憩終了!作業開始!)
の号令で再び内職(労役)作業を開始する。
背中と腰と尻が痛くてたまらない。
どれだけ時間が経過したのかも分からない。
突然「サギョ〜シューリョ〜」
と号令がかかる。
「終わりッスね。」サルタの指導で内職の材料をプラスチックの折りコンにしまい 窓側を向いて薄い座布団に正座して待つ。
遠くの房から順番に刑務官が声をかけながらやって来た。
ガチャ…鉄扉が開く。
2室っ回れ右っ(大声)
4人一斉に向きを変えて正座する。
2室ッご苦労さん!(大声)
(我々) 「ありがとうございました-!」
ゴミ出しッ、材料回収ッ
サルタが素早く動く。
11番出ます
休め、気をつけ!、礼ッ!なおれッ!
2室4名です交談札の貸与ありがとうございました
い良しッ!
11番入ります(入室)
若い刑務官が部屋内をギョロっと見回す。
2室清掃始めッ!
ガチャ…鉄扉が閉まる。
「掃除ッスね」サルタは手早くホウキで畳を掃き出す。
カメイがバケツに水をため 雑巾を絞って拭き始める。
サルタはチリトリに溜まったゴミを捨てるとトイレ掃除にとりかかる。
トイレは和式でアンモニア臭が物凄い…
※本当に物凄い
ゴム手袋をはめてトイレ用の雑巾で便器、足場、床を素早く拭き掃除する。
掃除が終わると また点検。
また窓側を向いて正座。
「点検ヨーイ」の掛け声で廊下を向いて正座し直す。
ガチャ…開く
2室番号ッ!
(我々) 「11番」「22番」「99番」「88番」
4名ッ!
4名ぇ-い!
※別の刑務官(ドア開ける時は必ず複数名で行動している)
ガチャ…閉まる
すぐに
「点検ぇーん!終了ぉぉぉ!」
「配食ぅ-」
刑務官の大声が廊下に響く。
「初日お疲れ様でした。夕飯ッス」とサルタ。
夕飯早くないか?
でも苦痛の作業が終わって俺は 少し安心した。
続く↓