どこの刑務所も同じだろうが、
檻の中の労役、懲役を監視する刑務官達には「名前」が無い。
囚人達が出所した後 逆恨み報復のリスクを避ける為なのかもしれないし、
われわれ労役囚みたいに法律違反をした挙句、
罰金も一括で支払えない貧乏人共に名乗る必要も無いのかもしれない。
とにかく刑務官達は名乗らないので われわれ囚人達は「先生」と呼ぶ。
ちなみに 入所時の説明によると、
「先生」からの呼びかけ、諸注意に対しては
あくまで「指導して貰っている」態度で臨まなければならない。
「無視、舌打ち、反抗的な態度」は即、懲罰の対象になる…
ネットや本などでよく見聞きする
「オヤジさん」なんて呼べるのはおそらく長期の受刑者達だけだろう。
隣の房の懲役受刑者(考査生)達も皆「先生」と呼んでいた。
棟の3階を全体的に管理・担当する「担当先生」
(↑剣道部系で行動に全く「スキ」が無い)
運動、入浴を担当する初老の「タヌキ先生」…
「狸・たぬき」の呼び名は労役囚の先輩達から代々受け継がれている(サルタ談)
作業の指導をする「材料先生」
(↑抜き打ちで確認に来る)
監視の若い刑務官「先生」達には それぞれ
「ギョロ」
(↑「高笑い」には敏感に反応するギョロ先生)
「メガネ」「ヤング眼鏡」「柔道部」
「お兄ちゃん先生」など好き勝手に名前を付けていた。
入所当時は大声で威圧してくる「先生」達がとにかく怖くて仕方がなかったが2週間もするとすっかり慣れてきた。
背が低く、痩せた若い「先生」ほど大声で威圧してくる傾向が見られた。
平日 偉いサンが見回りに来ると 先生は大声で
「報告します!○1棟3階○○名!入浴○○名、合計○○名です!礼!」(大声で早口)
と報告して敬礼する。
「○○名ぇい!」と低音で反復して答えるのは 少し偉い上長。
「はい ご苦労さん」と優しく答えるのは凄く偉い人なのだろう。
作業中は顔を上げて廊下を覗く事が許されないので 偉いサンの帽子の金線の数とかは確認はできなかった。
まだまだ続く↓