野良猫みたいに生きている(プロ

交通違反の罰金が払えず労役90日→労役終了後3ヶ月間ホームレス生活→その後色々の備忘録

労役と刑務官を「お父さん」と呼んじゃう男

2017年8月。世間では お盆休みを前に旅行だのレジャーだの浮かれた計画を立ててワクワクしている人も多いはずだ。

 

しかし ここS市W区にあるM刑務所に収監されている 労役、そして 懲役囚には お盆休みも 地元で行われる七夕祭りも関係ない。

 

むしろお盆休み中は 労役作業が休みになる「免業日」なのでヒマを持て余す→時間が過ぎるのが普段以上に長く感じるため必ず憂鬱になるはずだ。

  

この夏は冷夏で雨ばかり降っていたため 気温が低くそれだけが幸いだった。

 

・・・その日は数日ぶりの晴れの日で久しぶりに外運動があった。

 

狸(たぬき)先生の「ひだり!右!ひだり右っ!」のバカでかい号令で運動場まで行進する。

 

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「前に手足合わせて行進しろよ!」の注意も数日ぶりだ。

 

ハブヤが連行されてから行進の歩調合わせ等の注意が厳しくなった。

 

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ゲージ(コンクリで仕切られた3.4畳位の1人用運動場)に入って それぞれ自由運動をする。

刑務官達は上のデッキから監視する。

運動時間はタイマーで管理している。

 

コンクリ壁にを挟んで左隣が例の「ブーちゃん」こと1室の牛田だ。

 

「おい牛田!お前体重何キロあるんや?」

狸(たぬき)先生は茶髪だったり、刺青の入ってる若者だったり、

特徴のある奴によく話しかける傾向がある。

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「1××kgですぅ」牛田が弱々しくモゴモゴ答える。

「なんや!大きい声で話しなさい!せっかくデカい体してんだからw」

 

同行している若い刑務官もちょっと半笑いだ。

刑務官が労役の前で笑うのは珍しい。

「150kg以上あるのか?」

若い刑務官も質問してくる。

「そ、そんなに無いです・・。たぶん101.2キロ位です。」

嘘つけ!」「嘘やろ!」2人がほぼ一緒にツッコむ。

「領地の時に体重計ってるだろ!ヨシ。今度の風呂の時俺の前で体重計に乗ってみろな」

「ぇぇ…」牛田が弱々しく答える。

 

俺はニヤニヤ笑いながらゲージの中でストレッチしたりラジオ体操をしていた。

 

数分後 また狸先生が

「うしダァ!ちゃんと運動しろよ!」

「お前 少し動いて体重減らせよ!」と声をかける。

どうやら何もしていないらしい。

 

ここで牛田が弱々しく「はい お父さん」と答えたので

俺は声を出して笑ってしまった。

 

 

刑務所では刑務官を「先生」と呼ぶ

または「オヤジさん」とも呼ぶらしいが

M刑務所で「オヤジさん」なんて呼べるのは長期の服役囚だけだ。

労役を含む考査生、ションベン刑の受刑者は刑務官を「オヤジさん」なんて呼べない。

(雰囲気的に)

 

常に刑務官と受刑者の間には緊張感がある

 

「お父さん」と呼ぶ発想がそもそも無かったので 意表をつかれて笑ってしまった。

 

「なんで俺がお父さんなんや・・・」

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「眼鏡が無くてほとんど何も見えなくて 鬱になりそうですぅ」

「そうか 頑張るしか無いんだよ」

さすが狸先生は笑わず冷静に答えたが

俺はツボに入ってしまい しばらく笑いがおさまらなかった。

 

まいにち閉ざされた空間で行動を制限された生活が続くと

ちょっとした事でもニュースになる。

 

この話を夕食の時 サギミヤと犬山に話すと

犬山が「ブーは少し知能がアレなんですよ」

「甘ったれた性格なんですよ」

と話し3人で大いに笑った。

 

笑い声が大きかったらしく 

廊下側の開けっ放しの鉄格子窓から

見回りの若い刑務官に(約10分毎で巡回)

2室!声デカいぞ。高笑いするな❗️」

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またしても注意されてしまった。

 

 

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